
- 杣Books、東京へ行く。
小さい頃から慣れ親しんだ三頭山。
故郷の山での山頂書店や如何に?
「東京出身です」と堂々と言えない。何故なら“東京都あきる野市”出身だから。都心まで電車で一時間半もかかるし、通学路は畑の中だし、ウンコ臭いし、要は田舎なのです。
しかし、だから、山が近い。今回は本棚と帰省し、ヒョイッと行ける奥多摩は都民の森の「三頭山」に出店してきました。
我があきる野市のソウルリバー・秋川に沿った道をずんずん山へ進むと檜原村になり、更にずんずん進むと道は奥多摩周遊道路になり、その途中に広がるのが「都民の森」です。
幼き頃から幾度となく遊び親しんだ場所です。まさか本棚を担いで来るとは思いませんでした。いやはや人生、何が起きるか、んかりませんなぁ。
ここから三頭山に至るルートは無数にあります。そして、どれもよく整備されています。だから、三頭山は山登り入門編の山として紹介される事が多いです。
↑こんな感じで一部の道にはウッドチップが敷かれていたりもして、フカフカして極上の歩き心地。
無数にあるルートから搬入路にしたのは、やはり慣れ親しんだ三頭大滝を経由するコース。
火曜サスペンス的、片平なぎさ的スポットで、この吊り橋はかなりの高度感をあじわえます。この橋の上から滝が眺められますが、橋の上で不覚にもプルプルしてしまい、滝の写真がうまく撮れませんでした。
滝を過ぎてからは道は沢を沿っていきます。涼やか。
しばらく登ったら霧がかってきてしまいました。ちと気温も下がってきたような…一抹の不安を抱えながらも、無事登頂。
と言っても、三頭山はその名通りに3つ山頂がある山なのです。↑の写真は西峰、広場もあって良い感じ。
しかし、中央峰が一番高いので山頂書店的には中央峰だねと言うことで西峰から5分ほどの中央峰に行き、開店。
地味、あまりに地味な山頂。霧がその地味さに拍車をかけています。
「ま、地味だけど、皆、一番高いとこは必ず踏みに来るっしょ~」
…という読みは全く外れていたのでした。西峰の賑わいが我が中央峰に聞こえてくるのですが、全く人が通らない。仕方ないので本を読んで店番をすることに。
商売人は現実的であらぬばならぬと、「夢、死ね!」という本を選びました。山頂で本屋をやるという非現実的な状況下で、ヒジョーに現実的な内容の本を読み、少し凹みました。
その陰気さがいけなかったのか、せっかく通りかかったお客さんも誰ひとりとして立ち止まることがなく、風のように颯爽と我が中央峰をあとにしていきます。
そこである気付きを得ました。「皆、山には「非日常・非現実」を求めてきている」という気付きを。そのような人々を前にして「夢、死ね!」という本を片手に店番をしていた己の愚かさ、至らなさに愕然としました。
そして、久しぶりに売上0冊を喫してしまいました。
①人の来ない中央峰
②「夢、死ね!」
この二つの要因が敗因でありましょう。山頂書店の奥深さを味わった三頭山山頂書店でありました。
深いねえ。