
小さい頃から屁理屈野郎、天の邪鬼、ひねくれ者etc…と周りから言われなき迫害を受けてきた私。
最近、この自分のひねくれた思考態度を「哲学」と言ってしまおうと開き直りました。
もはや開き直りの「哲学」で1つ遊びを考えて遊んでみました、それが「撮り哲(とりてつ)」です。
…とまぁ、いきなり「撮り哲」と言われても何のことやらサッパリわからないでしょう。
撮り哲とは何なのか?
“とりてつ”は本来的には「撮り鉄」です。いわゆる鉄道オタクの鉄道写真専門の流派と言うか1つのジャンルであります。翻って我が「撮り哲」は哲学を撮ろうと言うものです。正確には「哲学っぽい言葉」が対象です。「哲学っぽい言葉」こんな感じ↓
「我思う故に我在り」とか「自然に帰れ」とか「構造主義」とか、まぁ抽象的なことですね。
ちなみに上の写真は、私が半日かがりで作った「哲学っぽい言葉カード」であります。たぶん100ワードくらい。古代ギリシャに始まり現代思想まで幅広く哲学っぽい言葉を収集し、カードに書き写しました。作り終えた時に「理性よ、さらば」と言う気分になっていたようです(笑)
撮影対象はそんな抽象的な言葉ばかりです。だから、バーコード禿げとか柴犬とか桜とかの具体物を撮るのとはワケが違う。要するに「概念」を撮る訳でして、そこに正解はありません。あるのはその人の解釈のみ、そうした時に必然的に勝手気ままな解釈、こじつけ、飛躍、跳躍が否応なしに起こるはずです。
もしかしたら、この否応なしにする飛躍や跳躍、こじつけを個性と呼んでも良いのではないか。私はそう考えました。そして、その違いを分かち合い、皆で哲学っぽい言葉も考えて楽しんでしまおうと企画したのであります。
哲学っぽい言葉を携え街にくり出してみた
イベント当日、奇特にも4人もの人が参加してくれました。ありがたい事であります。サクッと上記の通りの企画趣旨をざっくばらんに説明して、私が若干苦労して作った「哲学っぽい言葉カード」を一人3枚引いてもらいました。引き当てた言葉をシェアしてみました。
ちょっぴり紹介しますと
・消費とは言語活動である(ボードリヤール)
とか
・野生の思考(レヴィ・ストロース)
とか
・死に至る病とは絶望のことである(キルケゴール)
…とか。
なお、私が引いた三つの哲学っぽい言葉は…
・センス・オブ・ワンダー(レイチェル・カーソン)
・神すなわち自然(スピノザ)
・人生とは単に無意味であるだけでなく、不条理かもしれない(トマス・ネーゲル)
という感じ。自分の企画なのにあまりに漠然としており、どう撮るか、何撮るかがサッパリ思い付かない(笑)この状況が不条理だぜとか思いつつ、落ち着く為に近所のトータスコーヒーでコーヒーを飲むことにしました(笑)
店主さんにもカードを見せ、苦笑されつつ、「あー、コーヒーうめー」とか嘯いてたら何か撮れそうな気になったのでまた街へ。
「人生は無意味で不条理だ~」「センスオブワンダー」「神すなわち自然」と念仏の如く脳内リピートしながら街を徘徊します。明らかに街の、世界の見方が変わりました(笑)こんな機会でもない限り、こんな哲学的な気分で街歩きはしないと思いましたね。
そんなこんなで街を哲学的に切り取り会場へ帰還です。大体90分位で戻ってきた感じでした。会場にはほとんどの参加者さんが私より先に戻ってました。
で、私はこんな写真を撮りました
↑「神すなわち自然」
駐車場の一角に切り株が残されており、周りは花壇になっていました。おそらくこの切り株の木という自然に対して畏敬の念がこうさせたのかな、と想像。畏敬、すなわち神をここに感じたのでしょう。
↑「人生とは単に無意味であるだけでなく、不条理かもしれない」
当日は上田城趾で桜祭りが行われてました。賑わいにつられて行ってみた所、入口付近で打ち捨てられた桜祭りのパンフレットが、寂しく桜の花びらと共にあったのです。賑わいとは真逆の光景に、すぐに捨てられるパンフレットに、不条理さを私は見いだしたのでシャッターをきりました。
↑「センス・オブ・ワンダー」
人が一人やっと通れそうな建物と建物の間にブロックと立入禁止の赤いコーン。「何のために?」と不思議に思ったのです。私のワンダー(不思議に思うこと)に対するセンスが発動したのでシャッターをきりました。
…という感じで各々の撮ってきた風景をシェアしてみました。説明がなければ全く意味が読み取れない写真とか(笑)
逆に「哲学っぽい言葉」のおかげで「作品っぽさ」を得て説得力が増したり。言葉の意味に引きずられて写真をよく観るので発見がたくさんありました。それはそれは楽しかったのでありました。
「哲学」を撮ってみてわかったこと
・「哲学」は案外サクッと撮れる
・「哲学っぽい言葉」があると街を普段と違った捉え方をする
・「哲学っぽい言葉」のおかげで普段行かない場所に足を踏み入れるようになる
・人にいきなり「哲学っぽいこと」を聞いてみるのは中々面白い
・小さい人(子供)とやったらどうなるのか
・街、田舎問わずに開催できる
…などなど参加者さんからの言葉や私の気付きがありました。
思い付きを勢いのままやってみた企画だけれど、これは必ず2回目を開催せねばならぬ、強く思ったのでした。
と言う訳でして、待て次回!!
おしまい。