
ずいぶんと店を開いていない。このままでは山頂書店の股間にかかわる。
もとい沽券にかかわる。
寒いし、曇りだし、雪も降りそうだし、登っても売れないだろうなぁ。
いや、売れなそうだからこそ、登るのではないのか。
こうなりゃ、初売りだ、大売りだしだ、全品半額だぁぁぁ!!!
ってな訳でして、自分でもよく解らない逆ギレ感で初売りをすることに決め、
杣Books本店である太郎山山頂へ出店しにいくことになりました。
真冬の”裏参道”に慄く
勝手知ったる太郎山。
しかし、冬嫌いの為に今まで真冬に登った事がなかったのでした。
いつもの搬入ルートである「裏参道ルート」に、
いつもの調子で行ってみたら、

道が凍りついていました。比喩じゃなくて、真面目に凍りついてました。
その光景と寒さに思わず慄きました。
裏参道は「裏」というだけあって陽当たりってなんでしたっけ?という位に、陽当たりがないのですね。幸いにして傾斜は極緩やかなので、辛うじてアイゼンやスパイクなしで歩けました。
が、いつもより足元に神経を使うので真冬に裏参道を登る場合は軽アイゼンがあった方がよいでしょう。無駄に疲れます。

初売り!!のはずが全然初売れない。
そんな訳でして、いつもよりお疲れ気味で山頂にある太郎山神社さんにたどり着いたのでした。
初詣であります。ここは一つも二つも気合を入れて祈願せねばなりません。
商売繁盛、子孫繁栄、万年豊作、五穀豊穣、会者定離、家内安全、盛者必衰、七転八倒、世界平和、護憲政治、四苦八苦、猪突猛進、一発勝負、五里霧中、千載一遇、潜在意識、心身一如、三位一体、一進一退、一念発起、弱肉強食、高速道路。。。
…など思いつく限りの四文字熟語で2019年の勝利を祈願して参りました。この真摯な祈りはきっと届くことでしょう。

神社からは山頂までは5分ほどなのですが、山頂直下の道も更に入念に、容赦なく凍っておりました。
いつも以上にはぁはぁ言いながら山頂につきました。
そんな山頂にはお地蔵さましかおりません。
お地蔵様に挨拶をして、いそいそと開店です。初売りです。全品半額です。
でも、誰もいません。人が来る気配がありません。
小雪が舞っています。



もう店を開かないなんて言わないよ、絶対。
風。
お地蔵。
雪。
鼻水。
風。
痛。
寒。
粉雪。
寒。
悲。
寒い中に独りで居ると思考も単語だけになるのだという発見をしました。
発見はあれども、お客はあらず。
くっそー、何が初売りだ、誰も来やしねぇじゃねぇか、もうやらねー
限界が近づきつつありました。
そこへ。。。

お客さんです、お客さまです。長野からお越しくださいました。
そして、、、

買ってくださいましたよ、『道具と人類史』。
ありがとうございました。僕もその本、すげー読みたかったです。
結局、売上はこの一冊だけとなりました。
けれど、やはり山頂で売れると嬉しいです、すごく、とても、かなり。
だから、もう店を開かないなんて言わないよ、絶対。
おしまい。