4/6 海から一番遠い書店

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Spring has come.

春が来た。

…と思ったので、

人がこぞって来そうな「海から一番遠い地点」に出店だ。

海無し県が極まる場所。

佐久市は臼田という地の山に入った時、

「海から一番遠い地点」という奇体な看板を目にした。

すこし調べたら海岸線から最も離れた地点なのだという事がわかった。

さすが長野県ではないか。胸が高鳴った。

他に海無し県はあれど、海から一番遠い地点があるのは長野だけなのだから。

キングオブ海無し県である。

快挙だ。

県歌・信濃の国の歌詞に新たにこの地点の事を入れた方がいいと思う。

可及的速やかに。

何故、そうも暑苦しく「海から一番遠い地点」を持ち上げるのか。

我々、海無しの長野県民は不遇な生活を送っている。

海のものとの接触が限られているのだ。

日常で口にする海のものと言えば、塩丸いか、ビタミンちくわ、寒天だ。

不遇である。

その不遇が底を打つ場所が「海から一番遠い地点」と言えよう。

何しろ日本一なのだ。不遇も極まれば、それはもう誇っていい。

かくして、「海から一番遠い地点」は不遇が大逆転を起こす奇跡のスポットに華麗な転身を遂げるのである。

長野県民のパワースポットと言っても過言ではない、これは。

人気スポット…じゃないの?

という訳で、「海から一番遠い地点」はとてもすごい場所なのだ。

春が来て、今日みたいな行楽日和ときたら、

長野の人々はこぞってかの地を目指すに違いない、そう目論んだのである。

繁盛はもはや約束されたも同然。

奇跡のスポットにしては控えめな入り口である。

そんな期待を膨らませて登山口(榊山という山の途上にあるのだ)に立った。

早すぎたのか、人の気配がない。まぁ、これからわんさか来るのであろう。

わかりやすい列状間伐の図。

気にせず沢沿いの林道を歩く。勾配はゆったりしており、歩きやすい。

とろりとした春の陽射しのなか蝶がヒラヒラと舞っている。

沢からはミソサザイのさえずり。

春である。気分がよい。

熊もそろそろ起きてるんだろうなぁ…

40分ほどで林道の行き止まりに着いた。

ここから沢に沿って、と言うより枯れた沢を登っていく。

この看板に勇気づけられる。
「海から一番遠い地点」に一番近い「海から一番遠い地点を示す看板」

そういえば、歩き出してから動物には小鳥と蝶にしか会ってないなぁと不安になりだした頃に忽然とそこへたどり着いた。

海から一番遠い書店の図。

着いたので粛々と開店だ。

だ、誰もいない…

海から客足からも遠かった…

じっとしていると不安が高まるので本を読む。

おやつを食べる。

木を見る。

…などして過ごす。

だ、誰も来ない。。。

どうやら、ここは思っていたより人気がないらしい。

人気(にんき)どころか人気(ひとけ)がない。

私は「海から一番遠い地点」を買いかぶっていたのだろうか…

「海から一番遠い地点」の使い方

人が来ないのと開き直ることにした。

そうしたらある事に気付いた。

今、この地点に立てるのは俺一人だけだということに。

もしくは、この地点にありさえすればそれは何でも「海から一番遠い」のだ。

という事で、

海から一番遠いHERSHY`S

海から一番遠い空。
海から一番遠い『すぐそこの遠い場所」。

…とこのようにこの地点に置いたり、立ったり、見上げたりするだけで、

何でも「海から一番遠い」になれるのだ。とてもインスタントに。

すごい事だ。

もしあなたが今自信をなくしているのなら、

いますぐ「海から一番遠い地点」にいったらいい。

オンリーワンにしてナンバーワンになれる。

おお、そういう意味でまさにパワースポット。

という訳でして、客足からも遠い「海から一番遠い地点」ではあるが、

得るところの多い出店となったのでありました。

おしまい。

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