
5/11の小浅間山から山頂で書店を開いてなかった。
しかも、独鈷山、海から一番遠い地点、小浅間山と3連続で一冊も売れてない。
山頂書店の名折れどころか、山頂書店業界の存亡の危機。
今日こそ売らねばならぬと向かった先は「毛無山」。
8/11山の日は欲望に屈し、渓流に出かけてしまった。
振替休日たる8/12も山の日と言ってよかろうと久しぶりの山頂書店開店することとした。
向かうは北信、野沢温泉村は「毛無山」。

スキー場のゲレンデのルートを選ぶ。小さい書店員も一緒なので極楽ルートである。一応、コースタイムは登山口から30分で山頂。


真夏に開けたゲレンデルートかぁと思いきや、
小さいブナ林に出迎えられて気分がアガる。ブナが好きなのだ。何故か、知らないけど。

小さいブナ林を抜けるとやはり切り開かれたゲレンデの真ん中に一本道がツーーっと上まで続いていた。
けれど、暑さをあまり感じない。至極快適。斜度もそんなにない。
が、小さい書店員のエンジンが上がらない。と言うか、不機嫌。


「やーだーのっ!!」
それでも妻となんとかなだめすかして、じりじり登っていく。
「今日は体調良くないんだね、下りようか?」
「やーだーのっ!!!」
登るに登れず、下りるに下りれない。じりじり。。。。
小さい書店員さんとの一進一退とのせめぎ合いをしつつ、
じりじり、じりじり、じりじりと登っていく。

「うーん、やっぱり下りるかな」と困り果ててた所へ、
山頂から下りてきたであろう女性登山者に声をかけられた。
「何?その箱?」
「今から山頂で本屋を開くんです。その本棚です」と妻が答えた。
「え、面白い。見せてもらえる?」
「いや、山頂書店なんで山頂じゃないと…」と私。
「それじゃあ、一緒に登り返すから山頂で開いて見せてくださる?近いし」
この返答は私の創造の斜め上をいっていた。
一気に面白くなってしまったので山頂を目指すことにした。
確かに山頂はもうそこという感じだったので、小さい書店員さんと妻は後からついてきてもらう事にして、その女性と山頂を目指した。
10分ほどで山頂についた。


登り返してまでお店を見ていってくれるという体験も新しかったし、
目の前で開店を待たれるというのも未体験ゾーンであった。
めちゃくちゃ真剣に本を選んでくれる。
私もめちゃくちゃ真剣にどんな本か一冊ずつ説明した。
そんなやり取りをしていたら、妻と小さい書店員さんも登頂。よかった。

福岡伸一×阿川佐和子『センスオブワンダーを探して』
藤田一照×光岡英稔『退歩のススメ』
悩みに悩んで3冊もお買い上げ頂いた、ありがとうございます!!!
因みに新潟の小地谷から来られたのだそう。
まさかの登り返しのご来店は恐れ入りました。すごいです。マジで。
俺なら絶対にしない(笑)
という濃ゆい、濃ゆいお客さんが今日唯一のお客さんでした。
面白かったなぁ、本当にありがとうございます。




下りは小さい書店員さんもスタコラ歩いてくれて、すんなり下山できました。
それにしても、山頂書店はドラマチックですなぁ。
本当に予期しない事が起きる、やはり山頂書店は面白いですなぁ。
これからも不真面目にボチボチやっていきたいと思いを新たにしたのでありました。
おしまい。