
長野市民憩いの山・飯縄山。
杣Booksを始めてから登ろう、登ろうと思って4年。
4年越しの念願の出店やいかに・・・
近くて遠い山・飯縄山
ふもとの人に愛され登られる山。ふもとの人の日常にある山。
そんな山に杣Booksは出店してきたのである。
飯縄山は長野市民憩いの山であるという、これは行かねばならぬでしょう。
我が上田からもさして遠くないにもかかわらず、登って来なかった。
しかし、不思議なもので「その時」はフイに自然に訪れる。
朝起きたら「今日は飯縄山だ」、気持ちがそうなっていた。不思議なことである。
「何でこんな事してるんだろう」って久々に後悔した。

木漏れ日が心地よい。
起床、そして選書して颯爽と出発。
降り立ったのは「一の鳥居登山口駐車場」。時間は八時半。
賑わっている。人も車もたくさん!!
捕らぬ狸の何とやらが働いてしまい、ソワソワしながら出発。
ソワソワしてたら早速道を間違っていた。いけない、いけない。
ちゃんと登山道に戻って再出発。

こんな風になりたい、といつも思う。

緑真っ盛りな緩やかな登りをテクテク行く。林の中は暑さを感じず、心地よい。
が、そう思っていたのも登りはじめの30分くらいまでだったろうか。
なんだか身体が重い。。。斜度はまぁ、最初に比べてキツクなったけど。
汗が滝のようにダラダラ出てくる。うぐぐぐ。
き、きつい。
「ヤマノボリッテキツカッタノデスネ」と他人のような自分が、自分に語り掛けてムカつく。

夏の涼は夏の水場。
這う這うの体とはまさに今の自分。
久方ぶりに本を、本棚を背負っている事を激しく呪った。
それでもなんかとか山頂手前の小ピークにたどり着く。

稜線にでたら飯縄山頂が見える、見えるが微妙に遠い。キツイ。
「長野市民はこれを憩いとして楽しんでるのか。。。ヤベー市民だな」とかなんとか思いつつ登頂。十時半。
視界ゼロ、人はいる、来店する人はいない。


山頂では何名かの登山客が休憩していた。

その何名かの中の一名様がおもむろに来店。
『槍ヶ岳開山』を買っていただいた。嬉しい。
さぁ、出足好調。時間はまだ11時。これは大商いの予感。
そして、続々と賑わう山頂。
さらに賑わう山頂。
さらにさらに賑わう山頂。
高校生のグループ登山、年季の入った登山グループ、微笑ましい家族登山。
トレイルランナーな人、ストイックなソロハイカーなどなど。
山頂はあっという間に人でいっぱい。
でも、誰も来店してくれない。嗚呼。
久しぶりのこの感じ。
皆から「なかったことにされている感」。痛気持ちいい。

本がいてくれるから独りでも大丈夫。

大好きな話。
仕方ないので古本屋の店主っぽく読書をして来客を待つ。
誰も声をかけてくれない。。。


来るのはトンボとアブだけ。

読書がはかどる、はかどる。
山頂は読書がはかどるのである。
そうこうしてたら一時半。なんだか雨が来ちゃうかも。

結局、売れたのは1冊だけだったなぁ。
いや、しかし、これこそ山頂書店。

だいたい地球規模で考えたら、
宇宙規模で考えたら、
飯縄山山頂という極めて小さな点で人と本屋が出会い、
売買が成立するというのは奇跡的な事であろう。
だから、売れなくて当たり前。ちょっぴり寂しいけどね。
おしまい。